【心理術】試食マネキンのセールストークテクニック6選
2016/10/01
試食販売や推奨販売などのマネキンのお仕事で、「もっとセールストークが上手かったらいいのにな」と感じたことはありませんか?
セールストークについては、「大切なコトは、商品の短所と長所を1:9で紹介すること!」と、以前の記事でお話ししました。
また、上記の記事の中で、商品の長所は以下の2パターンに分けると探しやすいということもお話しました。
A.理屈っぽい人に効果的な「左脳パターン」
- 販売メーカー様の特徴や強み
- 商品を開発したときのエピソード
- 商品の効果・機能
B.雰囲気重視の人に効果的な「右脳パターン」
- キレイな盛り付け例
- 食べるのに適したシーン
- 他の人の口コミ(参考:「販売数を伸ばすためのセールストークのコツ」)
このように、セールストークにはコツがあるので、基本に忠実に行なえば誰でも販売数を伸ばせます。
ですが、お客様と会話をしていると、どうしても話が脱線してしまうことがありますよね。
このような時、セールストークの基本だけしか知らないと、アタフタしてしまったり、お客様と世間話をするだけで終わってしまったりします。
すると、せっかくの販売チャンスを逃してしまうことになってしまいます・・・!
そんなことにならないためにも、どんな会話の中にも上手く盛り込めるような、アレンジがきくセールストーク方法を知っておくことが必要なんです。
というわけで今回は、セールストークの中にアレンジして盛り込みやすい、心理テクニック6つをご紹介します。
お客様に好印象を与えたり、気分を良くしてもらうテクニックなどをご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
セールストークの心理術6つは3パターンに分けられる!
今回ご紹介するセールストークに使いたい心理テクニック6つは、以下のように3パターンに分類できます。
- お客様の情に訴えるタイプ
- お客様の気分を良くするタイプ
- 会話を続けやすくなるタイプ
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
【セールストークの心理術3パターン】
A.お客様の情に訴えるタイプ
セールストークに使える心理テクニックのパターンのひとつに、“お客様の情に訴える”というものがあります。
このパターンは、お客様に「このマネキンさんが言うなら、試食(購入)してあげようかな」と思ってもらうためのものです。
お客様の情に訴えるタイプの心理術には、以下の3つがあります。
- 人は未完成なものに興味をもつ「ツァイガルニック効果」
- 弱い立場の人を守りたくなる「アンダードッグ効果」
- 距離が近づくと親近感がアップする「パーソナルスペース」
それぞれについて、お話ししていきますね。
【心理術|お客様の情に訴えるタイプ】
1.人は未完成なものに興味をもつ「ツァイガルニック効果」
「ツァイガルニック効果」とは、“人は完成されたものより、未完成なものに興味をひかれやすい”という心理学効果のことです。
つまり、未完なものを見ると、つい完成形まで見たくなってしまう衝動に駆られるんです。
たとえば、マンガの主人公なんかは、ちょっとヌケててダメなところがあるキャラクターが多いですよね。
すべて完ぺきで非の打ち所もないようなキャラクターが、何やら素晴らしいことを成し遂げても、読者は魅力を感じられません。
それよりも、ちょっとダメなキャラクターが、失敗しながらも努力して、少しずつでも成長していく方が、読者はひきつけられてしまうんです。
このように、人間は未完成でちょっとダメなものに愛着をもちやすいんです。
このツァイガルニック効果を利用すると、試食販売においてお客様から好印象をもってもらえるようになります。
具体的には、流暢なセールストークに徹するのではなく、ちょっと“スキ”を作るんですね。
“完ぺきすぎない”売り込みを一生懸命することで、お客様に「この人まだまだだけど、頑張ってるな」と思ってもらえます。
そして、お客様に好印象をいただいてもらえれば、「まあ、試食ぐらいしてあげてもいいか」と思ってもらえるんです。
そのため、「上手くなろう、完ぺきにセールストークしなきゃ」とは思わなくても大丈夫です。
ちょっと緊張していたり、たどたどしいくらいの方が、お客様はセールストークに耳を傾けてくれやすくなります。
また、同じ店舗に何回も配属されることになれば、ファンになってくれるお客さまも現われるでしょう。
さらに、同様にお店の方からの印象もアップしやすく、指名が入りやすくなります。
【心理術|お客様の情に訴えるタイプ】
2.弱い立場の人を守りたくなる「アンダードッグ効果」
「アンダードッグ効果」とは、“弱い立場の人を見ると、つい応援したくなる”という心理作用のことです。
この効果を使うときは、立場の弱さをアピールするのでははく、「弱い立場なのに一生懸命がんばっている」ところをアピールするのがポイントです。
たとえば、運動会などで転んでしまった子が、ビリが確定しているのに、最後まで一生懸命走っていたら、みんなでその子を応援しますよね。
このようにヒトは、弱い立場におかれた人が、一生懸命がんばっている姿に心を動かされてしまうんです。
このアンダードッグ効果を利用すると、お客様にひいきにしてもらえるようになります。
たとえば、試食販売において、以下のようなセールストークをしてみます。
「この商品は、品質にマジメにこだわって作られているのに、あまり売上が伸びてないんです。
なので、タダでもいいので、たくさんの方に食べていただいて、少しでも良さを知っていただきたいんです!」
このセールストークからは、メーカー様がマジメに頑張っている様子や、商品が不遇な立場にある様子が伝わります。
そのため、もし商品の味が気に入れば、お客様はあまり渋ることなく1つくらいは買ってくれるでしょう。
【心理術|お客様の情に訴えるタイプ】
3.距離が近づくと親近感がアップする「パーソナルスペース」
パーソナルスペースとは、ヒトが持っている心理的な縄張り意識のことです。
「ちょっとこの人、なんか近くない・・・?」なんて思った経験はありませんか?
それは、あなたのパーソナルスペースに、その人が踏み込んでしまったからなんです。
パーソナルスペースは、相手との距離で以下の4つのように分類できます。
- 密接距離(0~45cm):恋人や家族、とても仲が良い人との距離
- 固体距離(45~120cm):ふつうの友達との距離 ←ココがベスト!
- 社会距離(120~350cm):目上の人や、仕事関係の人との距離
- 公衆距離(350cm~):演説などでの距離
これらの距離のうち、「固体距離」が相手を説得するのに有効な距離といわれています。
というのも、この固体距離まで入られると、ヒトは相手に対して親近感をもち、心をひらきやすくなるからなんです。
つまり、試食販売において、“いかにお客様との距離を45~120cmに近づけるか”がポイントとなります。
この固体距離にスムーズに入り込むためには、試食中のお客様と同じ側に立って、一緒に商品を眺めるのがオススメです。
なぜなら、面と向かい合いながらヒトが近づいてくると、お客様は警戒されやすいのですが、回り込んで横から近づかれた場合は、少し警戒が和らぐからです。
ぜひ、自然にお客様のパーソナルスペースに入り込み、親近感を持っていただいてセールストークを進めてみてください。
さて、ここまで、セールストークの心理術6つのうち、「A.お客様の情に訴えるタイプ」の3つをご紹介しました。
続いては、「B.お客様の気分を良くするタイプ」に含まれる心理術を2つご紹介します。
【セールストークの3つの心理術】
B.お客様の気分を良くするタイプ
このお客様の気分をよくするパターンのセールストーク心理術には、以下の2つがあります。
- 4.イヤなことを口に出すと気分が良くなる「カタルシス効果」
- 5.イヤな気持ちを与えずに説得する「YES BUT法」
これらを使うことで、お客様に少し良い気分になっていただき、セールストークを進めやすくすることができます。
というわけで、それぞれについて詳しくお話しします。
【心理術|お客様の気分を良くするタイプ】
4.イヤなことを口に出すと気分が良くなる「カタルシス効果」
「カタルシス効果」とは、“心にしまってある不安やイライラを言葉で表現すると、スッキリして気分がよくなる”という、「心の浄化作用」ともいわれる心理効果です。
ヒトは誰でも、ストレスや不安を抱えて生きていますよね。
あなたにも、イヤな気持ちを言葉にして吐き出すことで、ちょっと気持ちが軽くなったと感じたことはありませんか?
カタルシス効果は、まさにそういった効果です。
試食販売のときでも、お客様が抱えているちょっとしたグチや不快感を聞き出すことで、お客様の気分を良くすることができます。
ですが、急に初対面のマネキンにグチを言うようなお客様はいませんよね。
そこで、試食商品に関係するようなことで、何か不満に思っていることがないかを、少しずつ聞き出していくのがポイントです。
このように、カタルシス効果をつかうことで、お客様の気分を少し良くしつつ、セールストークをすすめられます。
【心理術|お客様の気分を良くするタイプ】
5.イヤな気持ちを与えずに説得する「YES BUT法」
「YES BUT法」とは、あいづちの打ち方に関するテクニックで、相手の言うことを否定せずに、自分の意見を言う方法です。
相手の話の内容が、どれほど自分の考えとは違っていても、絶対に否定しません。
なぜなら、ヒトは肯定されたり認められると、無意識に物事をプラスにとらえるようになり、否定されると心を閉ざしてしまいがちだからです。
そのため、試食販売においては、どれだけ商品のことを否定されても、一旦「そうですね。」といってYESで 受け入れましょう。
そして、お客様の考えを肯定した上で、「実は、こんな良さがあるんですよ・・・」と商品を違った切り口からアピールしてみます。
たとえば、栄養価の高いドリンクの試飲販売でYES BUT法を使ってセールストークしてみると、以下のようになります。
(試飲されたお客様)「甘すぎるね。ちょっとムリです。」
(マネキン)「そうなんです!こちらかなり甘めのお味になっているんです。お口に合わなくて申し訳ありません。ただ、お子様にはとっても人気で、今日も20人くらいのお子様がお母さんにねだってましたよ。栄養もたっぷりなので、実はお子様向けなんですよね。」
(↑YESの部分を青、BUTの部分を赤く目立たせてみました。)
パッと見ても分かるように、このセールストークでは、お客様の味覚を肯定しつつ、実はこの味は子供に人気で、栄養価も高いので子供用に最適とアピールしています。
もし、お客様にお子様がいれば、ちょっと買ってみようかなと思っていただけます。
ここまでで、セールストークの心理術6つのうち、「B.お客様の気分を良くするタイプ」の2つをご紹介しました。
続いては、「C.会話を続けやすくなるタイプ」に含まれる心理術を1つご紹介します。
【セールストークの3つの心理術】
C.会話を続けやすくなるタイプ
この会話を続けやすくなるパターンのセールストーク心理術には、以下のものがあります。
- 6.クローズドクエスチョンとオープンクエスチョン
これらを使いわけることで、お客様との会話が続きやすくなり、セールストークを進めやすくなります。
というわけで、これら2つの使い分けについて、詳しくお話しします。
【心理術|会話を続けやすくなるタイプ】
6.クローズドクエスチョンとオープンクエスチョン
「クローズドクエスチョン」とは、相手が「はい(いいえ)」や「Aです(Bです)」のように、かんたんに答えられるような質問のことです。
たとえば、以下の質問はクローズドクエスチョンです。
「甘いものはお好きですか?」⇒「はい」か「いいえ」
「チョコレート味とヨーグルト味、どちらがお好きですか?」⇒「チョコレート」か「ヨーグルト」
一方で、「オープンクエスチョン」とは、「どう思いますか?」などのような、相手が自由に答えられる質問のことです。
たとえば、以下の質問はオープンクエスチョンです。
「お味はいかがですか?」⇒「おいしい」「まずい」「辛い」「甘い」・・・などなど
そして、試食販売などで初対面のお客様に質問をしていく場合は、相手がかんたんに答えられる「クローズドクエスチョン」を多めに使うのがポイントです。
というのも、お客様は「試食だけしたい」「できるだけ買いたくない」「買わされそうだから、マネキンと話したくない」と考えているからです。
そのため、お客様は「はい」「いいえ」「チョコ味」などのスグに答えられる質問以外をされると、わずらわしさを感じてしまいます。
そして、会話がイヤになって、質問をムシしたり、「また今度買うから」といって去って行ってしまうんです。
また、クローズドクエスチョンのポイントは、出来るだけ相手から「YES」と言ってもらうことです。
なぜなら、ヒトは「YES」という回答を続けていると、最終の質問にも「YES」と言ってしまいがちだからです。
つまり、お客様に「YES」と言ってもらえる質問をたくさんすれば、「おひとついかがですか?」という最終の質問にも「YES」と言ってもらえる可能性が高くなるんです!
ただし、クローズドクエスチョンを続けすぎると、相手は「誘導尋問?」「売りつけられる?」と考えてしまい、イヤな気分になってしまいます。
そのため、ある程度会話が続いたら、オープンクエスチョンを織り交ぜていくのが大切です。
たとえば、以下のように2種類の質問をまぜていくんです。
(マネキン)「こちらの商品ご存知でしたか?」(クローズドクエスチョン)
(お客様)「はい、CMで見ました。」
(マネキン)「ありがとうございます!新発売の商品ですが、甘くて飲みやすくないですか?」(クローズドクエスチョン)
(お客様)「はい、飲みやすかったです。」
(マネキン)「ありがとうございます。ちなみに、普段はどんな栄養ドリンクを召し上がられますか?」(オープンクエスチョン)
(お客様)「普段は○○とかかな。」
(マネキン)「○○でしたら、こちらのドリンクと有効成分はほぼ一緒ですね。さらに、このドリンクは・・・(続く)」
このように、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを組み合わせていきましょう。
そして、お客様の好きなものを少しずつ探り、出来るだけ「YES」を多くもらえるようなクローズドクエスチョンの内容を考えて、会話を進めましょう。
いかがでしたか?
試食試飲やデモンストレーションなどでのセールストークを円滑にすすめるためには、心理テクニックを駆使したアレンジが必要です。
今回は6つのテクニックをご紹介しましたので、ぜひあなたのセールストークにも活用してみてくださいね。